但馬国ねっと風土記

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神社の格式と但馬国の神社数

神社よもやま話

「神社人データベース」によると、神社の数は、全国およそ8万8,000社以上に上ると言われ、仏教系寺院よりも数が多く、日本で最も多い文化建造物のひとつとなります。その内、有人神社(神職者が常駐している社)は、2万社程度とも言われておりますが、実態は定かではありません。

文化庁文化部宗務課「宗教年鑑」に掲載されている各都道府県別の神社の数になり、その数、8万8,585社となりますが、摂社末社を含めれば、20~30万社に上るとも言われ、神社人DBでも、ほぼ登録を終えた東京都(2,309社)や沖縄県(59社)が、それ以上の数に達していることから、約1.3~1.5倍程度のボリュームが実際には見込まれるのではないかと考えています。

ただ、非常に興味深いのが、神社の数の少ない都道府県は、

和歌山県熊野神社香川県金刀比羅宮三重県伊勢神宮 ・宮崎県:高千穂 ・島根県出雲大社

といった有名な神社が存在する地域に集中しているというのがあります。これは、神社の特性として、勧請システム(他地域に引っ張ってくる)により、信仰エリアの拡大を図っていることから、オリジナルの神社が強いエリアというのは、逆に、他の信仰が入りにくいのではと考えることもできます。それは、神社が多い地域にも同様の事が伺え、新潟県兵庫県、愛知県、福岡県といった米所として有名な産業地域若しくは、交易の中心地といった文化よりも産業発展が著しい地域の方がその数が多いという傾向を強めております。それは、こうした土地が、人と情報の流動性が激しいことの表れとみることも可能ではないかと考えられるのです。

兵庫県は全国でも神社が多い地域で、新潟県に次いで第二位。 神社数(文化庁文化部宗務課「宗教年鑑」より)

三千社以上は

新潟県 4,933 兵庫県 4,243 愛知県 3,885 福岡県 3,806 岐阜県 3,440 千葉県 3,391 福島県 3,170 静岡県 3,070

の順です。

ただし、神社の数の少ない都道府県として島根県をあげていますが、日本最古の社格と呼ばれる「延喜式神名帳」(延喜年間(901~923)に編纂されたため延喜式と称され、平安期は延喜式神明帳)の式内社では、 大和國:286座 大128小158 出雲国:187座 大2小185 となりますから、やはり島根県は格式の高い神社が多いことになります。

神名帳は、単なる当時の神社総数目録を意味するのではなく、当時、律令制における一機関である神祇官(じんぎかん)が、神社を統括するようになり、彼らが、由緒正しき霊威ある神社を認定するとの趣向で編纂されたものとなります。そのため、ここに掲載されるということは、当時として、非常に格式が高い神社と認められたことになります(この制度を官社制度と言います)。具体的には、この式内社は、大枠2種、官幣(かんぺい)社、国幣(くにべつ)社に分類され、更に、それぞれ大小に区分される計4種の神社に選別されます。

官幣社:朝廷管理(現在で言うところの中央政府管理) =官幣大社:198社304座/官幣小社 :375社433座 国幣社:各国国司管理(現在で言うところの各都道府県庁管理) =国幣大社:155社188座/国幣小社:2133社2207座

この場合の大小は、当時の社勢の違いによるものとされておりました。また、官幣社が、中央直轄系となるため、京都を中心とした畿内に集中し、国幣社は、逆に、全て畿外(地方)に指定されています。更には、これら式内社の中から、特にその霊験が著しく高いという意味を込めて、「名神」のタイトルを賜る神社もあり、その全てが大社であったことから、「名神大社」と呼ばれる神社もありました。因に、この時に、「神宮」の称号を付されていたのが、伊勢神宮鹿島神宮香取神宮の三社のみであり、こちらもかなり別格扱いされていたということが分かります。ただ、そんな官社制度も律令制が崩壊後、中央の基準から外れることとなり、明治時代に改めて、官幣社国幣社を用いた社格制度が復活するようになります。しかし、そのタイトルは同じでも、意味は、相当異なるため、こちらの場合には、やはり「式内社」と表記された上で、実際の社格が表示されるなどの違いがあるため、十分な注意が必要です。

延喜式神名帳」には、全国で大492座、小2640座が指定されています。相甞祭(あいなめさい)の官幣を受ける大社69座は、多い順に大和31、摂津15、山城11、河内8、紀伊4座です。

 新甞祭(にいなめさい)の官幣を受ける大社(官幣大社)304座は、京中3、大和128、山城53、摂津26、河内23、伊勢14、紀伊8、近江5、播磨3、阿波2、和泉、伊豆、武蔵、安房、下総、常陸、若狭、丹後、安芸がそれぞれ1座です。大和朝廷の勢力範囲の拡大経過と見ることができるでしょう。

かつての「延喜式神名帳」の旧国別でも、但馬国式内社数の多さに驚きます。

 但馬国は131座(大18小113)が指定されており、全国的にも数では上位に当たり、しかも大の位の神社数が多いのが特徴です。但馬国を旧郡名の朝來(アサコ)郡、養父(ヤブ)郡、出石(イズシ)郡、気多(ケタ)郡、城崎(キノサキ)郡、美含(ミグミ)郡、二方(フタカタ)郡、七美(ヒツミ)郡の8つに分けると、出石郡が9座2社、気多郡は4座4社置かれ、次いで養父郡が3座2社、朝来郡城崎郡が各1座1社ずつとなっています。

 大小合わせて131座というのは、例えば

 大和國:286座 大128 小158  伊勢國:253座 大14 小235  出雲国:187座 大2 小185  近江国:155座 大13 小142 ※但馬国:131座 大18 小113  越前國:126座 大8 小118

近隣で比べると、

 丹波国:71座 大5 小66  丹後國:65座 大7 小58  若狭国:42座 大3 小14  因幡國:50座 大1 小49  播磨国:50座 大7 小43

となっているので遙かに引き離していることがわかります。それは大和朝廷の勢力範囲が強く、但馬が古くから重要視されていたことを示しています。

桜井勉 校補但馬考

朝来(あさご)郡

此地ニ朝來山トイウフ名所アリ、取リテ郡ノ名トセリ、俗ニハ、此郡ニイマス栗鹿ノ神、國中ノ一宮ユヘ、諸ノ神タチ、朝コトニ来タリマミエ玉フ、故に、朝來郡ト名ツケシト云ハ、憶説ナラン、スヘテ、郡郷ノ名ハ、其地名ヲ取テ名ツクルヤ、古(故)実ナリ、

倭名類聚抄 郷八 山口 桑市 伊田 賀都(かつ) 東河(とが) 朝来 栗賀(あわが) 磯部 村数七十九 延喜式神名帳曰九座 大一座、小八座 栗賀神社(名神大) 朝来石部(あさごのいそべ) 刀我石部(とがのいそべ) 兵主神社 赤渕 伊由 倭文(しとり) 足鹿 佐嚢(さな)

養父(やぶ)郡

倭名類聚抄 郷十 糸井 石禾(いさわ) 養父 軽部 大屋 三方 遠屋 養耆(やぎ) 浅間 遠佐(おさ) 延喜式神名帳曰三十座 大三座、小二十七座 夜夫坐(やぶにいます)五座(名神大二座、小三座) 宇留波 水谷(名神大) 浅間 屋岡 伊久刀 楯縫 兵主神社 男坂 伊伎都比古阿流知命神社二座 井上(いのへ)二座 手谷 坂盖(さかき) 保奈麻 葛(たづ) 大輿比 桐原 盈岡(みつおか) 更杵村大兵主神社 御井 名草 杜内 和奈美 夜伎村坐山(やきむらにすの)

出石(いずし)郡

倭名類聚抄 郷七 小坂 安美(あみ) 出石 室野 埴野 高橋 資母 村数七十八

延喜式神名帳曰二十三座 大九座、小十四座 伊豆志座神社八座(並名神大) 御出石神社(名神大) 桐野神社 諸杉神社 須流神社 佐々伎神社 日出神社 須義神社 小野神社 手谷神社 中島神社 大生部兵主神社 阿牟加神社 比遅神社 石部神社 小坂神社

気多(けた)郡

倭名類聚抄 郷八 太多 三方 楽前(ささのくま) 高田 日置 高生(たかふ) 狭沼(さの) 賀陽(かや) 村数七十四(佐野含む)

延喜式神名帳曰二十一座 大四座、小十七座 多麻良伎神社 気多神社 葦田神社 三野神社 売布神社 鷹貫神社 久斗寸兵主神社 日置神社 楯縫神社 井田神社 思徃(おもひやり)神社 御井神社 高負神社 佐久神社 神門(かんと)神社 伊智神社 須谷(藤井)神社 山神社(名神大) 戸(と)神社(名神大) 雷(いかづち)神社(名神大) [木蜀]椒(ほそき)神社(名神大

城崎郡

倭名類聚抄 郷六 新田10 城崎14(佐野含む) 三江 奈佐 田結 餘部

延喜式神名帳曰二十一座、大一座、小二十座 物部神社 久麻神社 穴目杵(あなめき)神社 女代神社 輿佐伎神社 布久比神社 耳井神社 桃島神社 兵主神社 深坂(ふかさか)神社 兵主神社二座 気比神社 久流比神社 重浪(しぎなみ)神社 縣神社 酒垂神社 西刀(にしと)神社 海神社(名神大

美含(みぐみ)郡

風土記(古老伝) 郷十三、神社五所 倭名類聚抄 郷六 

佐須 竹野(たかの) 香住 美含(みぐみ) 長井 餘部 村数 佐須二十 竹野二十九 香住八 長井十一 餘部

延喜式神名帳曰十二座 井小 佐受神社 鷹野神社 伊伎佐神社三座 法庭(のりば)神社 美伊神社 椋橋(たらはし)神社 阿故谷神社 桑原神社 色来(いろく)神社 丹生(にふ)神社

二方(ふたがた)郡

倭名類聚抄 郷九 村数五十四 久斗7 二方5 田公(たきみ)7 大庭7 八太(はだ)11 陽口? 刀岐? 熊野? 温泉(ゆ)16

延喜式神名帳曰五座井小 二方神社 大家神社 大歳神社 面沼(めぬ)神社 須加(すか)神社

七美(しつみ)郡

倭名類聚抄 郷五 村数七十三 兎束(うつか)14 七美14 小代20 射添(いそふ)13 駅家12 延喜式神名帳曰十座 井小 多他神社 小代神社二座 志都美神社二座 伊曾布神社 等余(とよ)神社 高坂神社 黒野神社 春木神社

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